住宅業界への新規参入と事業性検証
先日、あるクライアント様の案件で、エクステリア市場への新規参入検討と事業性検証のコンサルティングをさせて頂きました。そのクライアント様は金属加工技術におおいては世界トップクラス、売上高数千億円、国内外に数十カ所の工場や拠点があり、非常に高いポテンシャルと大きな組織を持った会社でしたが、既存事業の成熟化にともない、将来を見据えた新規事業の領域を模索されているところで、住宅建材業界(エクステリア業界)に詳しいコンサルタントを探している中でお声をかけて頂きました。ご支援と併走させて頂きましたことに感謝申し上げます。
ありがたいことに様々な企業様の新規事業立ち上げや住宅市場やリフォーム市場への新規参入のご支援や併走をさせて頂いておりまして、その中で築いたマイスクエア独自のルーティンがあるのでご紹介したいと思います。
★マイスクエア流 新規事業立ち上げor新規市場参入のPOINT★
【①クライアントについて詳しく知る】
どのような案件、どのようなクライアントであっても、まずは相手のことを詳しく知ることから始めます。HPは、経営理念や会社概要、製品詳細、ブログなどを隅々までチェックして、更には外部の評判やプレスリリースなども漏れなく確認させて頂くことで、そのクライアント様の現状や将来のビジョン、また問題点や課題などがわかることもあります。但し、この時点で気をつけていることは『先入観を持たないこと』『中立的で客観的に見ること』であり、新規参入や事業性検証の可能性をネガティブなイメージのまま進めないようにすることです。わかりやすく言い換えると、無理だろうとか難しいだろうという概念は一度捨てる必要があると考えております。
【②商品やサービスを知る】
次に、商品とサービスについて詳しく知る必要があります。商品であれば、素材・形状・色・コスト・販売ルートなど、サービスであれば、内容・特長・価格などについて理解します。ここで、重要であると考えているのはその商品の『強みや弱み』について仮説を立てることです。もしクライアントが既存領域の技術やサービスを生かした新規参入を検討しているのであれば、強みや弱みを理解しておく必要があるからです。
【③業界分析と市場調査】
次に参入する業界とその市場における主要メーカーや製品を調べます。例えば、エクステリア業界では、LIXIL・YKKAP・三協アルミ・四国化成・タカショーなどが上位シェアをほこるメーカーであり、それぞれが特徴的な製品を販売しております。ここでは、ただメーカーや製品を比較したり調査するのではなく、どの分野で勝負するのか、またどの製品なら勝てるのかなどを見据えた調査を意識します。住宅業界及びリフォーム業界において、今は戦国時代のように競合が激しいため、レッドオーシャン市場へ参入しても余程の差別化戦略ができなければ勝ち残ることは難しい為、しっかりと競合やポジショニングを調査&分析します。
【④ユーザーニーズと販売・施工ニーズ】
ニーズの検証は非常に重要であると考えております。例えば高性能で魅力的な商品だとしても、価格が高額で誰も買わないのであれば、それは価格のニーズを調べずに値付けしたことになります。またどれだけ安い製品であってもまったく使い道のない100均グッズを買う人は少ないでしょう。また、ユーザーニーズだけでなく販売業者や中間業者のニーズも忘れてはなりません。メーカーとしていくら素晴らしい製品を開発しても現場で組立や施工が難しすぎる製品などは、販売してもらえません。
様々なニーズを調べる上で、最近便利だと思うのが『Chat GPT』です。私も資料作成する時に活用することが増えてきました。但し、このようなAIで注意しなければならないのは、あくまでも今までのデータを分析して回答を導いてくれるものであって、全くの新しいもの『0⇒1』は教えてくれませんし、総論としては参考になりますが、本質的な部分(現場レベルで起きていることなど)は回答しません。従って、マイスクエアでは骨子の部分をAIからヒントをもらい、そこから独自の経験や分析を加えていくといったやり方をしております。(※下記はエクステリア市場のユーザーニーズについてのChatGPTの回答)
【⑤PoC(概念実証)】
新商品、新サービスの開発や導入を検討する際に重要なのがPoCです。PoCとはProof of Concept(概念実証)の略であり、様々なアイデアやコンセプトについて事業性があるかどうかを検証していく手法になります。マイスクエアの専門分野である住宅業界や住宅建材業界においては、価値の検証(ユーザーにとっての価値があるか)や事業性検証(ビジネスとして成立するか、売れるのか)を細かく実施していくことを大切にします。例えば、リフォームの新規参入をテーマにした場合、いきなりすべての分野のリフォーム工事を請け負うことやなんでもリフォームやってますといった戦略ではリフォーム市場で勝負することはできません。自社の製品やサービス、そして販売手段や販売価格などを1つずつ仮説を立てながら検証していくことです。その結果が1つずつ蓄積されていくことで、方向性が定まり目指すべき姿が決まってきます。
【⑥方策立案と実施(PDCAをまわす)】
PoCが済んだら、具体的な方策立案と実施項目を明確にします。例えばリフォーム事業の立ち上げであれば、アライアンスの確立(協力業者の選定)・社員教育(商品知や営業ツールの整備)・社内体制作り(業務の受け皿、定例会議の実施)など役割分担を明確にして納期や目標数値まで決めて実施します。そしてPDCAをまわすことが大切です。PDCAはビジネスに限らず、スポーツや趣味の世界などでも無意識にやっていることでしょう。例えば、サッカー選手がP(PLAN)練習計画を立て、D(DO)実際にやってみて、C(Check)できたかどうかチェックし、A(Action)次の行動にうつすといった感じです。新規事業や新規参入においてはこのPDCAが特に大事であり、修正や方向転換などを求められるケースもあるので早いサイクルでまわしていくことが重要です。
マイスクエアでは、新規事業立ち上げや新規市場参入の際には上記のポイントを意識してご支援させて頂いておりますが、その中でも他の会社との違いは『現場目線&実践的な感覚を大切にすること』です。理想論や机上の空論では新規事業は成功しません。私自身も2年前に会社設立した時に、描いていた理想の会社像やビジネスモデルは実際行動してみて、思うようにはいかず何度も崩れていきました。しかし、それを失敗と捉えるのではなく、成功するために必要な糧として何が足りなかったのか、ユーザーニーズや現場目線をしっかりと考えていたかと振り返ることで、ようやくマイスクエアのやり方が確立されました。
今までご支援させて頂いた企業様に感謝の気持ちを伝えつつ、また今日も新しい案件に全力で取り組んでまいります!